今日は「ほこり」の話なんですが、ほこりと言ってもプライドのほこりではないです。チリのほうの「ほこり」です。写真の真ん中にほこりがあるの、わかるでしょうか。スマホだと見えないかな。これ16号の尻尾の付け根くらいのところなんですが。長さ1mmくらい、太さはもう0.05mmはないだろう、ごく微細な毛ぼこりです。これ樹脂の中に入ってしまっていて、表面近くでいっしょに硬化してしまったものです。
以前から常に注意し続けているのですが、いまだ完全に排除することはできません。まずシリコーン型をよーく見て、マスキングテープの粘着で入念にほこりをとります。実際に樹脂が流れる内側はもちろん、外側も、場合によってはそれが浮遊して湯口から入ってしまうこともあるかと思い、それも取ります。何しろ目でよーく見て、ほこりが1つもないと思って型を閉じて樹脂を流しても、このように混入してしまいます。
1つや2つなら、そこだけ細い彫刻刀で掘り、レタッチして埋めますが、それが3か所、4か所になってくるとボツになるケースもあります。
以前話したかもしれませんが、芸大卒で漆の作家をしている友人が、漆もほこりが最大の敵で、「海の上で漆、塗りたい」と言っていました。海には基本的にほこりはないから、と。なるほど確かに海の上には毛ほこりはないかもしれませんね。
細心の注意を払ってほこりを取って樹脂注型しても、それでもほこりがあると、かなりがっかりします。
まだ、画期的なほこり対策はないので、目で見て事前に排除するしかないのですが、今までも、そしてこれからもほこりとの闘いは続きます。
2020年2月10日