about

●beniedaとは

「何の役にも立たないけど、そばにいると嬉しい。そんなネコのアートで、日々がんばっている人を応援する」ことをテーマにネコのレジンフィギュアを中心に制作活動をしているアート工房です。

いま”効率”や”合理性”や”成果”などが強く求められる世の中ですが、ネコはそんな事は関係なく寝転んでいます。そんなネコの魅力を手元に置いて、少しの間ほっとしていただけると幸いです。

●造形活動への経緯

本当に好きなのは「手でモノを作ること」。うすうすわかっていたけど幼児の頃から変わらない、その一番好きなことに取り組みはじめました。

この写真のネコは私が中学生の頃から23年間、実家で飼っていた「ミオ」です。ずいぶん前に老衰で亡くなりましたが。私とずっといっしょに育った大好きなネコです。私が大学で写真の勉強をしていた頃、フィルムが余ると最後の1コマ、2コマは必ず自宅のミオを撮ったものからピックアップしたものです。どれもかなり昔のものです。

私は幼稚園児の頃、父が画材のネリゴムを「おみやげ」と称して買ってきて以来それを普通の粘土だと思いこみ、毎日、毎日、毎日、何時間も、何時間も、何時間も、いろいろなものを作ってずーっと遊んでいました。なぜあんなに集中したのかわからないほど本当に毎日作り続けていました。寒い冬の日は少し硬くなったネリゴムをこたつの網にくっつけて温め、柔らかくなったところでまた作っていました。

ネリゴム
幼児の頃作った再現

しかしその後、私は中学、高校とサッカーに熱中し、作ることからは少し離れていましたが、高校3年の進路を考える時期に「やはりモノを作る方向に進みたい」と考え、2浪の末、多摩美術大学のグラフィックデザイン科へ進みました。90年代初頭に卒業、就職し、その後はづっと広告制作、アートディレクター、クリエイティブディレクターの仕事をしてきました。

そんな中、2015年の春、かねてから感じていたことに改めて取り組んでみようと思いたちました。それは「やはり、手でモノを作りたい」という事です。結局いくら離れていても幼児のころから本当に好きなことは何も変わっていなかった事に気づいたからです。
では何を作るのか。それはもう1つの大好きなものである「ネコ」を作りたい。ミオはもういないけど、しかしあのネコの魅力を自分の造形でカタチにしたいという思いから、「好きな事×好きな事」で、自分のモノづくりとして再開しました。
このサイトは制作活動の記録と、作品が少し増えてきたことで「展示の場」としてのギャラリーサイトとして、少しづつ作品を増やしながら活動をしていきたいと考えています。
「benieda」というブランド名は、私の名前にある文字とカミさんの文字を1文字づつ並べて読んだものです。カミさんは直接造形に関わってはいませんが、造形活動も家族の理解あってのことでもあるので、このようなブランド名にしました。

私の目標は、自分の手で作ったもので、誰かが喜んでくれる、楽しんでくれることです。それを目指して少しづつ制作をしていこうと思います。

benieda

 

●目指す造形について

「役に立たないのに、そばに居ると嬉しいネコの存在」をカタチにしたい。

ネコ。かつては蚕をネズミから守るなどの活躍もあったようですが、 現代では、ネコは人間にとってほとんど実用的な役には立たないとみられてます。しかしネコが好きな人は役に立つことなんて期待していないし、実はいるだけで充分価値があることを知っています。それは近くにいるだけでリラックスさせてくれることです。ネコ本人はそんなつもりはないかもしれませんが。しかし現代のストレスや緊張の多い時代に、近くにいるだけでリラックスできる存在の価値はとても大きいと思います。そのわずかなリラックスのおかげで、また頑張ることに向かえるように思います。その「そばにいるだけでリラックスできる存在」をアートとしてカタチにすることを目指しています。

見る人と関係を感じる身近なアート作品に。

私のネコ作品は、基本的にテーブルの上に置くことを想定しています。
テーブルに置いた時に、持ち主と目が合うことを想定して作っているので、見上げているポーズのものが多いです。テーブルアートという言葉があるのか知りませんが、持ち主のすぐ近くに置いていただき、すぐ触ることができる。
「鑑賞」するだけではなく、しかし「実用性がある」わけでも「便利」なわけでもない、まさに「役に立たないのにそばに居ると嬉しい、ネコの存在」と同じように、置いているだけでなんとなく気持ちがリラックスできる作品を作りたいと考えています。

●造形手法

小さいけど彫刻作品です。

私が目指すのは「ネコの魅力を形にする」ことです。
現時点の手法は、体のフォルムについてはデッサン的な、骨格や筋肉の動き、毛でふくらんだニュアンスなどを描写することをベースにして、しかしイメージを強調する造形としてのアレンジなどを加えて作っています。また頭部、顔、表情は、ネコの造形を基にしながらもリアルな描写ではなく、私なりのネコイメージで造形しています。そんな方法で、あの、「ネコから受ける魅力」をなんとか形にしたいと考えています。

今の造形手法は彫刻の「塑造」といわれる手法です。彫刻には大きく2つの手法があり、「彫像=カービング」と「塑像=モデリング」です。彫像はまさに彫って形を作るミケランジェロや仏像の木彫などです。一方、塑像は粘土で形を作り、その後型どりをしてブロンズなどで置き換えます。有名なのはロダンの”考える人”などでしょうか。塑像は原型が完成品ではなく、素材を置き換えた、いわば複製の方が完成品です。そのため”考える人”も、上野を含め、世界各地に「本物」が存在します。複製が最終作品という意味では版画も近いアートかと思います。
このように塑造の手法にて、素材はレジン(ポリウレタン樹脂)を最終の材質として使用しています。原型はオーブンで焼くと硬化する「グレースカルピー」という樹脂粘土で、その原型に対してシリコーン型を作ってレジンを注型する手法で制作しています。素材や手法については常にいろいろな事を試行錯誤していますが、現在のところは上記の材質で制作しています。

●触ってサラサラ

「触感」も重要な要素です。

「触っても気持ち良い」ことを目指しているので、触感も重視しています。ツルツルでもなくザラザラでもなく「サラサラで気持ち良い」ことを目指しています。そのため現在は、原型表面をサーフェイサーという下地塗装剤の吹き方と、レジンの最終完成品の表面をサンドペーパーで仕上げる、この2つのプロセスの加減で、そのサラサラ感を表現したいと考えています。

●色について

素材色の「白」と、カラーリングする「着彩」の2方向で制作中。

初期は、レジンの素材色である白で制作していました。レジンの白は少しだけ透過性があり非常にきれいです。塗装の白とは違う透明感があり少し不思議な質感が気に入ってます。しかしその後、単純にネコの柄を描いてほしいというご要望をいただき挑戦し始めました。その後、さまざまな画材で実験をし試作を25匹くらい作ったあたりでようやく手法が見えてきました。それはベースにアクリル絵具で下地の色を付け、その上から毛並み表現として水彩色鉛筆で描きこむ、という方法です。現状ではそれがベストな手法です。が今後も研究は続けていきます。

レジンの素材色(白)タイプ
着彩タイプ

●ミオギャラリー

私のネコ体験の原点となったミオの写真です。

おそらく0歳(生まれた年)のころ
真上から見たミオ。

写真左が0歳のころ。写真右はかなり高齢。20歳前後くらいかな。毛繕いがめんどうになってきて、毛がボサボサになってきた。
寝てるミオ